2026年10月30日 更新

あきざくら

ペンネーム:Udon

『日曜の 空とコスモスと 晴れにけり』 久保田万太郎

 

「酷暑日」という気象予報用語が導入、使用された暑い暑い夏がやっと終わりの様子をみせ、微かながら秋の気配を孕む風と澄み切った青空と白い雲に誘われて、鹿児島市の都市農業センターへコスモスを見に出かけました。

 

園内に足を踏み入れると、目の前に広がるのは約8,000平方メートルの面積に約23万本の色とりどりの秋桜畑。満開とはまた一味違う、5~6分咲きならではの瑞々しさが広がっていました。咲き誇る花のあいまに、丸いつぼみがひょっこりと顔を覗かせ、まるで、これからもっと鮮やかになることを予感させます。
近づいてみると、その種類の多さ、カラーバリエーションの豊かさに思わず見入ってしまいます。

 

 

王道の可憐なピンクや真っ白な花びらに加え、ハッとするほど深みのあるワインレッド、秋の日差しを浴びて温かく輝く黄色やオレンジ。
さらには、花びらにふんわりと可愛らしい模様が入った繊細なもの、袋状になっている花びらなど珍しい品種まで揃っていて、その美しさに圧倒されます。

 

頭上に広がる高い秋晴れの空と、風に揺れるカラフルなコスモスたち。
遠くメキシコの高原を原産地とし、ヨーロッパへ種子が送られ、幕末にオランダ人が薩摩藩に、この花のことを伝え明治初期にかけ日本に持ち込まれ広まり、その後は玉川大学などで、それまでに存在しなかった黄色の色素を持つ変異株をベースに約30年もの歳月をかけて「イエローガーデン」などの黄色い品種が作りだされ長年の研究の成果として、この風景を見ているのだと感慨に浸りながら、ここでふと思うのです。

「秋桜」と書いてコスモスと読ませたのは、あの歌がはじまりで、某ドラッグストアの社名由来は荒地に根を張るコスモスのように地域にしっかり根付いて貢献したいという思いから名付けられたんだよなぁとか、お弁当を用意してくればよかったなぁ…いや、せめておにぎりだけでも。焼き芋とお茶があればなぁ、などと。

※ここで朗報。
今週末、都市農業センターではコスモスマルシェが開催され、新鮮なお野菜やキッチンカーが並ぶそうです。

この特別な景色を形に残したくて、持参したチェキを構えました。
ファインダー越しに覗く青空と色とりどりのコスモス。シャッターを切ると、ジーッという音とともに、白いフレームの中にゆっくりと鮮やかな世界が浮かび上がってきます。スマホの写真とは違う、少しレトロで温かみのあるチェキのフィルム写真は、この日の空気感ごと閉じ込めた宝物になりました。

一輪一輪の表情を愛でながらゆったりと歩く時間は、日常の忙しさを忘れさせてくれる、特別なひとときでした。満開を迎える前の力強く可憐な秋のグラデーションに心やすらぐ一日となりました。

 

『コスモスの 花あそびをる 虚空かな』 高浜虚子

『父の願い 小さかりけり コスモス野』 饂飩