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はじめに
私は今、ビルの1階から8階まで歩き、会社へ到着しました。
到着するや否や、私のカラダは座るための椅子を求め、喉の渇きを治めるために水分を求めてきます。
普段、皆さんはカラダの感覚へ意識を向けることがどのくらいあるでしょうか。
恐らく、多くの方がカラダの感覚へあまり意識を向けていないでしょう。
もし、私たちがカラダの感覚へと意識を向けるなら、私たちのカラダは多くのことを私たちに伝えてくれます。
カラダは知っている
冒頭での私のように、普段、私たちは無意識であるにも関わらず、私たちのカラダは喉が渇いたなら、水分を求めます。
息が切れたなら、立ち止まったり、座ったりしたくなります。
この時、カラダから「水分を摂った方がいいよ」、「止まった方がいいよ、座らないと体に悪いよ」と私たちへメッセージを伝えてくれています。
実はこのように、私たちのカラダには「私たちが次に何をすべきなのか、どうあるべきなのか」を伝えてくれる機能が備わっているのです。
心理療法として有名なフォーカシング指向心理療法では、このことを「カラダからの次なるものの暗示」と呼びます。
この感覚はすべての人に備わっている機能であり、私たちは誰でもこの機能を使うことができます。
カラダの感覚に意識を向けてみる
皆さんは日常の中で、カラダに違和感を持ったことはないでしょうか。
例えば、仕事において、書類を作成するうえで、少し内容に納得はいかなかったものの、その書類を上司へ確認してもらったところ、案の定、納得していなかった部分を指摘された。また、友だちと話をしていて、あまり乗り気ではないのにその人の話に同調してしまい、あとで後悔してしまった。
このような経験はいくつもあるでしょう。
このように、「納得していない」、「あまり乗り気ではない」という感覚(違和感)はカラダが皆さんへ伝えたかったメッセージなのですが、得てして、私たちはそのカラダからのメッセージを無視して、物事を判断し、次へと進めてしまいがちです。
このカラダの感覚のことを、フォーカシング指向心理療法では、「フェルトセンス(意味ある感覚)」と呼んでいます。
この感覚はとても重要な感覚なのですが、私たち人間は、ある時、思考という素晴らしいものを手に入れました。
これにより、予想したり、想像したり、先を見通したりする能力を身につけました。また、思考は科学を発展させ、それにより今の世界を創り上げました。そういう面において、思考はなくてはならないものです。しかし、一方で、私たちはカラダの感覚を意識することに鈍くなってしまったのも事実です。感覚よりも思考が優位となり、物事を思考だけで判断することが多くなってしまいました。
カラダからのメッセージに耳を傾ける
思考には素晴らしい側面もあるのですが、思考は嘘をつくことができます。一方、カラダの感覚は嘘をつくことができません。
例えば、私が何か困っている時に、思考では困っていないと誤魔化すことができます。しかし、カラダの感覚(気持ち、表情や仕草など)は正直であり、誤魔化すことはできません。
それでは、私たちの普段の生活において、このカラダの感覚へと意識を向けることは、私たちにどのように役立ち、私たちをどのようにサポートしてくれるのでしょう。
例えば、友だちと話をしていて、あまり乗り気でない時、カラダの感覚に意識を向け、カラダの声に耳を傾けるなら、「乗り気でないなら断りなさい」というメッセージを聴くことができます。
このように、カラダの感覚から物事を判断することは、思考だけで判断するよりも、より正確な判断が可能となります。それは、カラダの感覚が思考と違い誤魔化しようがないからです。そして、私たちの日常において、カラダに意識を向け、カラダからのメッセージを聴きながら生活することは、「今、私は何をすべきなのか、どうあるべきなのか」という示唆を私たちに与えてくれます。
是非、カラダに意識を向け、カラダの声を聴きながら、日常を過ごしてみてはどうでしょうか。